メインコンテンツへスキップ
  1. ネットワーク 記事一覧/
  2. IS-IS記事一覧/

IS-ISのSPF計算と経路選択

目次

IS-ISのSPF計算と経路選択

IS-ISのルータは、隣接からLSPを集めてリンクステートデータベース(LSDB)を作ります。ただしLSDBはネットワークの地図であって、経路表ではありません。地図から「どの宛先へはどの隣接に渡すか」を決めるのが決定プロセス(Decision Process)で、その中身がSPF計算です。

ISO/IEC 10589:2002は7.2でこの過程を定めています。この記事では、SPFが何を入力にして何を出すか、ブロードキャストのコストがなぜ1回しか数えられないか、等コストのパスが何本まで残るか、そしてIOS XRがリンクの変化とプレフィックスの変化で違う計算を走らせることを、規定と実機で確認します。

LSDBそのものの作られ方はIS-ISのLSPとリンクステートデータベースIS-ISのフラッディングとLSDB同期で解説しています。

決定プロセスの入力と出力

7.2.1が定める入出力は単純です。

区分内容
入力LSDB(更新プロセスから受け取る)と、リンクの変化の通知
出力転送データベース(メトリック種別ごと、レベルごとに1つ)

出力が「経路の一覧」ではなく転送データベースである点が重要です。7.2.6.1は「アルゴリズムが決めるのは次ホップだけで、宛先までの経路全体ではない」と明記しています。IS-ISのルータは自分の次の1歩しか決めず、その先は次のルータが同じ計算をして決めます。

これが成り立つには2つの前提が要ります。7.2.6.1はそれをこう書いています。

  • ドメイン内のすべてのISが同一のトポロジ情報で収束すること
  • 同じ入力からすべてのISが同じ経路集合を作ること

1つ目が崩れるとループします。だからLSDBの一致がここまで重視されます。2つ目のために、規格は等コストパスの間引き方まで決定的に定めています(後述)。

計算はレベルごと・メトリック種別ごとに別々に走ります(7.2.6.4)。レベル1とレベル2の両方で動くルータは、それぞれ独立にSPFを実行します。

使えるパスと使えないパス

7.2.6.2は、SPFが見つけるパスを3種類に分けています。

種類内容
最小コストパスメトリック和が最小のものが1本
等最小コストパスメトリック和が最小で並んだもの
下流パス自分より宛先に近づくパス

これに当てはまらないパスは不正で使ってはいけません。加えて、メトリック和が定数MaxPathMetric(1023)を超えるパスも不正です。

両端が申告したリンクしか使わない

7.2.8.2の双方向接続性チェックです。

決定プロセスは、両方のISがそのリンクを申告していない限り、2つのIS間のリンクを使ってはならない。

片方のルータだけが「隣にあの人がいる」と言っていて、相手が言っていないリンクは計算に入れません。壊れたルータが実在しない隣接を広告してもトラフィックが吸い込まれないようにするためです。7.2.4は、ISがリンクを「down」と見なしたらLSPにそのリンクを載せてはならない、とも定めています。

なお、リンクを申告するとは「少なくとも既定メトリックに値を持っている」という意味で、両端が違う値を申告してもかまいません。その場合、経路は行きと帰りで非対称になります。

最大メトリックのリンクは計算に入れない

wideメトリックを定めるRFC 5305は、リンクのメトリックに別の使い道を与えています。

リンクが最大リンクメトリック(2^24 - 1)で広告された場合、そのリンクは通常のSPF計算で考慮してはならない

24ビットの上限値16777215は「コストが非常に高い」ではなく「このリンクをSPFで使うな」という印です。隣接は上がったまま、そのリンクだけを経路計算から外せるので、メンテナンス前にトラフィックを逃がす用途に使えます。IOS XRではmetric maximumで設定します。

ブロードキャストのコストは1回だけ数える

ブロードキャストのLANは、全員が互いにつながった網としてではなく、疑似ノード(Pseudonode)という架空の1台として扱われます(7.2.3)。LANに乗っている各ルータは疑似ノードへのリンクだけを申告し、疑似ノードのLSPはDISが代理で作ります。

このとき、疑似ノードから各ルータへ向かうリンクのメトリックはすべて0です。規格はその理由を注記でこう述べています。

メトリックはすでに疑似ノードへのリンクに割り当てられているため、値はゼロにする。疑似ノードのLSPに非ゼロのメトリックを割り当てると、実際の値が2倍になってしまう。

つまりLANを1つ通る「往復」のうち、コストを数えるのは入る側の1回だけです。3台が乗ったLANでも、通過コストは入り口のメトリックそのままになります。DISと疑似ノードの決まり方はIS-ISのDISと疑似ノードで解説しています。

等コストパスは何本まで残るか

等コストのパスが複数見つかったとき、いくつまで転送データベースに載せるかは管理パラメータmaximumPathSplitsが決めます。規格の既定値は2です。

これを超えたら、7.2.7が定める順で間引きます。実装ごとに結果が変わらないよう、順位づけは完全に決定的です。

基準
1隣接の種別(エンドシステム/リーチャブルアドレスプレフィックスの隣接を優先)
2メトリック和が小さいほう
3ネイバーIDが小さいほう
4回線IDが小さいほう
5LANアドレスが小さいほう

IOS XRではmaximum-pathsで本数を変えられます。

完全SPFと部分計算

ここからは実装の話です。規格は決定プロセスを1つの手続きとして書いていますが、実装はLSDBの変化の種類で計算量を変えます。IOS XRは2種類を使い分けます。

種別走る条件やること
FSPF(完全SPF)トポロジが変わったとき。隣接の増減、リンクの増減、メトリックの変更、ノードの増減最短路木を作り直す
PRC(部分計算)トポロジは変わらず、広告されるプレフィックスだけが変わったとき木はそのままに、プレフィックスの付け替えだけ行う

ループフリーであるためには全ルータが同じ木を持てばよく、木の形が変わらない変更でまで木を作り直す必要はない、という考え方です。どちらが走ったかはshow isis spf-logに残ります。

このほか、変化が無くてもPERIODICとして定期的にFSPFが走ります。

実機での検証

検証環境

R1・R2・R3を1つのブロードキャストLANに乗せ、R2とR3からR4へポイントツーポイントで伸ばします。R1から見たR4はR2経由もR3経由もコスト20(LAN 10 + p2p 10)で並びます。全台を同じエリア49.0001level-2-onlyにしました。

ルータNETLo0リンク
R149.0001.0010.0100.1001.001.1.1.1/32Gi0/0/0/0 10.1.0.1(LAN)
R249.0001.0020.0200.2002.002.2.2.2/32Gi0/0/0/0 10.1.0.2(LAN)/ Gi0/0/0/1 10.2.4.2(p2p)
R349.0001.0030.0300.3003.003.3.3.3/32Gi0/0/0/0 10.1.0.3(LAN)/ Gi0/0/0/1 10.3.4.3(p2p)
R449.0001.0040.0400.4004.004.4.4.4/32Gi0/0/0/0 10.2.4.4(p2p)/ Gi0/0/0/1 10.3.4.4(p2p)

検証のSTEP

STEP操作確かめること
0既定・安定状態R1からR4のLo0がECMP 2本。疑似ノードのメトリックが0であること
1R1にmaximum-paths 1等コスト2本が1本に絞られる。どちらが残るか
2戻して、R2 — R4のR2側メトリックを20にR3経由の1本になる。spf-logがFSPFであること
3戻して、R2側をmetric maximum隣接はUpのまま、そのリンクがSPFから外れること
4R4にLoopback1(172.16.4.1/32)を追加spf-logがPRCで、FSPFが走らないこと
5すべて元に戻す(最終状態)STEP 0と一致

STEP 0:疑似ノードのメトリックは0

まず既定の状態です。R1のデータベースを見ます。

STEP 0 R1:show isis database detail(R1・R2・疑似ノードの部分)
RP/0/RP0/CPU0:R1#show isis database detail
Thu Sep 10 14:12:25.525 UTC

IS-IS 1 (Level-2) Link State Database
LSPID                 LSP Seq Num  LSP Checksum  LSP Holdtime/Rcvd  ATT/P/OL
R1.00-00            * 0x00000009   0x6235        607  /*            0/0/0
  Area Address:   49.0001
  LSP MTU:        1492
  NLPID:          0xcc
  IP Address:     1.1.1.1
  Hostname:       R1
  Metric: 10         IS-Extended R2.01
  Metric: 0          IP-Extended 1.1.1.1/32
  Metric: 10         IP-Extended 10.1.0.0/24
R2.00-00              0x0000000f   0xa79a        886  /1200         0/0/0
  Area Address:   49.0001
  LSP MTU:        1492
  NLPID:          0xcc
  IP Address:     2.2.2.2
  Hostname:       R2
  Metric: 10         IS-Extended R2.01
  Metric: 10         IS-Extended R4.00
  Metric: 0          IP-Extended 2.2.2.2/32
  Metric: 10         IP-Extended 10.1.0.0/24
  Metric: 10         IP-Extended 10.2.4.0/24
R2.01-00              0x00000008   0x4764        618  /1200         0/0/0
  Metric: 0          IS-Extended R3.00
  Metric: 0          IS-Extended R1.00
  Metric: 0          IS-Extended R2.00

R1もR2も、LANについてはMetric: 10 IS-Extended R2.01と、疑似ノードへのリンクを1本だけ申告しています。互いを直接の隣接として申告してはいません。そして疑似ノードR2.01-00が申告する3本は、すべて Metric: 0 です。LANを通るコストは入る側の10だけになります。

IS-Extendedという表記は、wideメトリックのTLV 22で申告されていることを示します。IS-ISのTLVはIS-ISの主要TLVで解説しています。

この結果、R1から見たR4は2本のパスが並びます。

STEP 0 R1:show isis topology
RP/0/RP0/CPU0:R1#show isis topology
Thu Sep 10 14:12:25.701 UTC

IS-IS 1 paths to IPv4 Unicast (Level-2) routers
System Id          Metric    Next-Hop           Interface       SNPA          
R1                 --      
R2                 10        R2                 Gi0/0/0/0       5254.00bc.1d81
R3                 10        R3                 Gi0/0/0/0       5254.0063.11aa
R4                 20        R2                 Gi0/0/0/0       5254.00bc.1d81
R4                 20        R3                 Gi0/0/0/0       5254.0063.11aa

R2経由もR3経由もメトリック20(LAN 10 + p2p 10)です。R1がLANに入るコストが10、R2/R3が疑似ノードから出るコストが0、そこからR4へのp2pが10で、合わせて20になります。3台が乗ったLANでも二重に数えられていません。

経路表にも2本入ります。

STEP 0 R1:show route isis
RP/0/RP0/CPU0:R1#show route isis
Thu Sep 10 14:12:24.538 UTC

i L2 2.2.2.2/32 [115/10] via 10.1.0.2, 00:09:40, GigabitEthernet0/0/0/0
i L2 3.3.3.3/32 [115/10] via 10.1.0.3, 00:09:28, GigabitEthernet0/0/0/0
i L2 4.4.4.4/32 [115/20] via 10.1.0.2, 00:05:12, GigabitEthernet0/0/0/0
                [115/20] via 10.1.0.3, 00:05:12, GigabitEthernet0/0/0/0
i L2 10.2.4.0/24 [115/20] via 10.1.0.2, 00:05:12, GigabitEthernet0/0/0/0
i L2 10.3.4.0/24 [115/20] via 10.1.0.3, 00:09:28, GigabitEthernet0/0/0/0

STEP 1:等コストパスの間引き

R1にmaximum-paths 1を入れました。

STEP 1 R1:show route isis
RP/0/RP0/CPU0:R1#show route isis
Thu Sep 10 14:15:26.805 UTC

i L2 2.2.2.2/32 [115/10] via 10.1.0.2, 00:01:33, GigabitEthernet0/0/0/0
i L2 3.3.3.3/32 [115/10] via 10.1.0.3, 00:01:33, GigabitEthernet0/0/0/0
i L2 4.4.4.4/32 [115/20] via 10.1.0.2, 00:01:33, GigabitEthernet0/0/0/0
i L2 10.2.4.0/24 [115/20] via 10.1.0.2, 00:01:32, GigabitEthernet0/0/0/0
i L2 10.3.4.0/24 [115/20] via 10.1.0.3, 00:01:32, GigabitEthernet0/0/0/0

4.4.4.4/32が1本になり、残ったのは10.1.0.2、つまりR2経由です。7.2.7の順位づけのうち、隣接の種別もメトリック和も同じなので、次の基準であるネイバーIDが小さいほうで決まります。R2のシステムIDは0020.0200.2002、R3は0030.0300.3003で、R2のほうが小さくなります。

このときshow isis topologyにはパスが2本のまま残ります。間引きは最短路木を作る段階ではなく、転送データベースを組み立てる段階(7.2.9)で行われるためです。

STEP 2:メトリックを変えると完全SPFが走る

maximum-pathsを戻し、R2のGi0/0/0/1にmetric 20を入れました。R1から見たR4はR3経由の1本(メトリック20)になり、R2経由は10+20=30で選ばれなくなります。R2経由のパスは消えたのではなく、高くなっただけです。

STEP 3:最大メトリックのリンクは計算から外れる

同じインタフェースにmetric maximumを入れました。R2のLSPはこうなります。

STEP 3 R1:show isis database detail(R2の部分)
R2.00-00              0x00000011   0xb2a1        1105 /1200         0/0/0
  Area Address:   49.0001
  LSP MTU:        1492
  NLPID:          0xcc
  IP Address:     2.2.2.2
  Hostname:       R2
  Metric: 10         IS-Extended R2.01
  Metric: 16777215   IS-Extended R4.00
  Metric: 0          IP-Extended 2.2.2.2/32
  Metric: 10         IP-Extended 10.1.0.0/24
  Metric: 16777215   IP-Extended 10.2.4.0/24

16777215は2^24 - 1で、wideメトリックの上限です。このときR2の隣接は落ちていません。

STEP 3 R2:show isis neighbors
RP/0/RP0/CPU0:R2#show isis neighbors
Thu Sep 10 14:22:08.719 UTC

IS-IS 1 neighbors:
System Id      Interface        SNPA           State Holdtime Type IETF-NSF
R1             Gi0/0/0/0        5254.00a6.5d45 Up    28       L2   Capable 
R3             Gi0/0/0/0        5254.0063.11aa Up    22       L2   Capable 
R4             Gi0/0/0/1        *PtoP*         Up    26       L2   Capable 

Total neighbor count: 3

R4との隣接はUpのままです。それでもR1のトポロジからは消えます。

STEP 3 R1:show isis topology
RP/0/RP0/CPU0:R1#show isis topology
Thu Sep 10 14:21:49.063 UTC

IS-IS 1 paths to IPv4 Unicast (Level-2) routers
System Id          Metric    Next-Hop           Interface       SNPA          
R1                 --      
R2                 10        R2                 Gi0/0/0/0       5254.00bc.1d81
R3                 10        R3                 Gi0/0/0/0       5254.0063.11aa
R4                 20        R3                 Gi0/0/0/0       5254.0063.11aa

STEP 2では30という値を持つパスとして残っていたのに対し、STEP 3ではR4へ届く道がR3経由の1本しか無い状態になりました。メトリックが大きいのではなく、RFC 5305の規定どおり計算に入れられていません。隣接を落とさずにリンクを迂回させられるのはこのためです。

STEP 4:プレフィックスだけの変化では木を作り直さない

メトリックを戻し、R4にLoopback1(172.16.4.1/32)を追加しました。

STEP 4 R1:show route isis
RP/0/RP0/CPU0:R1#show route isis
Thu Sep 10 14:26:28.189 UTC

i L2 2.2.2.2/32 [115/10] via 10.1.0.2, 00:09:31, GigabitEthernet0/0/0/0
i L2 3.3.3.3/32 [115/10] via 10.1.0.3, 00:09:31, GigabitEthernet0/0/0/0
i L2 4.4.4.4/32 [115/20] via 10.1.0.2, 00:03:11, GigabitEthernet0/0/0/0
                [115/20] via 10.1.0.3, 00:03:11, GigabitEthernet0/0/0/0
i L2 10.2.4.0/24 [115/20] via 10.1.0.2, 00:03:11, GigabitEthernet0/0/0/0
i L2 10.3.4.0/24 [115/20] via 10.1.0.3, 00:09:31, GigabitEthernet0/0/0/0
i L2 172.16.4.1/32 [115/20] via 10.1.0.2, 00:01:35, GigabitEthernet0/0/0/0
                   [115/20] via 10.1.0.3, 00:01:35, GigabitEthernet0/0/0/0

新しいプレフィックスがECMP 2本で入りました。ここで計算の記録を見ます。

STEP 5 R1:show isis spf-log(起動からの全記録)
RP/0/RP0/CPU0:R1#show isis spf-log
Thu Sep 10 14:30:22.230 UTC

  IS-IS 1  Level 2  IPv4 Unicast  Route Calculation Log
                                                   Capacity: 210, Size: 37
                    Time Total Trig.
Timestamp    Type   (ms) Nodes Count First Trigger LSP    Triggers
------------ ----- ----- ----- ----- -------------------- ----------------------
--- Thu Sep 10 2026 ---
13:31:30.214  FSPF     0     1     7             R1.00-00 CONFIG NEWNODE NEWLSP OVLSET PREFIXGOOD AREAADDR IPADDR
13:31:32.409  FSPF     0     1     1             R1.00-00 OVLCLR
13:31:35.608   PRC     0     1     1             R1.00-00 PREFIXGOOD
13:32:45.281  FSPF     0     3     3             R2.01-00 NEWNODE NEWLSP LINKGOOD
13:32:54.163  FSPF     0     3     5             R2.00-00 NEWNODE NEWLSP PREFIXGOOD AREAADDR IPADDR
13:32:55.219  FSPF     0     3     2             R2.01-00 LINKGOOD
13:32:56.226  FSPF     2     3     1             R1.00-00 LINKGOOD
13:33:39.049  FSPF     0     4     6             R3.00-00 NEWNODE NEWLSP LINKGOOD PREFIXGOOD AREAADDR IPADDR
13:33:40.010  FSPF     2     4     1             R2.01-00 LINKGOOD
13:34:41.946  FSPF     0     5     5             R4.00-00 NEWNODE NEWLSP PREFIXGOOD AREAADDR IPADDR
13:34:43.072  FSPF     0     5     1             R4.00-00 LINKGOOD
13:34:44.370  FSPF     2     5     2             R2.00-00 LINKGOOD
13:37:53.124  FSPF     2     5     2             R2.00-00 LINKBAD PREFIXBAD
13:39:03.124  FSPF     1     5     2             R2.00-00 LINKGOOD PREFIXGOOD
13:52:41.752  FSPF     0     5    28             R1.00-00 CONFIG DELNODE LSPEXPIRY LINKBAD PREFIXBAD AREAADDR IPADDR
13:52:41.953  FSPF    57     5    28             R1.00-00 CONFIG NEWNODE NEWLSP LINKGOOD PREFIXGOOD AREAADDR IPADDR
13:55:52.259  FSPF     0     5    28             R1.00-00 CONFIG DELNODE LSPEXPIRY LINKBAD PREFIXBAD AREAADDR IPADDR
13:55:52.460  FSPF    49     5    28             R1.00-00 CONFIG NEWNODE NEWLSP LINKGOOD PREFIXGOOD AREAADDR IPADDR
13:56:03.323  FSPF     2     5     2             R2.00-00 LINKBAD PREFIXBAD
13:59:26.324  FSPF     1     5     2             R2.00-00 LINKBAD PREFIXBAD
14:02:08.623  FSPF     2     5     2             R2.00-00 LINKGOOD PREFIXGOOD
14:02:32.912  FSPF     0     5    28             R1.00-00 CONFIG DELNODE LSPEXPIRY LINKBAD PREFIXBAD AREAADDR IPADDR
14:02:33.113  FSPF     0     5    21             R1.00-00 CONFIG NEWNODE NEWLSP LINKGOOD PREFIXGOOD AREAADDR IPADDR
14:02:44.523  FSPF     1     5     3             R2.00-00 LINKGOOD PREFIXGOOD
14:02:55.957  FSPF     2     5     2             R3.00-00 LINKGOOD PREFIXGOOD
14:03:07.293  FSPF     1     5     2             R4.00-00 LINKGOOD PREFIXGOOD
14:05:26.824  FSPF     2     5     2             R2.00-00 LINKBAD PREFIXBAD
14:07:11.723  FSPF     2     5     2             R2.00-00 LINKGOOD PREFIXGOOD
14:13:53.661  FSPF     0     5    28             R1.00-00 CONFIG DELNODE LSPEXPIRY LINKBAD PREFIXBAD AREAADDR IPADDR
14:13:53.862  FSPF    48     5    28             R1.00-00 CONFIG NEWNODE NEWLSP LINKGOOD PREFIXGOOD AREAADDR IPADDR
14:16:56.122  FSPF     0     5    28             R1.00-00 CONFIG DELNODE LSPEXPIRY LINKBAD PREFIXBAD AREAADDR IPADDR
14:16:56.324  FSPF     2     5    28             R1.00-00 CONFIG NEWNODE NEWLSP LINKGOOD PREFIXGOOD AREAADDR IPADDR
14:17:07.575  FSPF    34     5     2             R2.00-00 LINKBAD PREFIXBAD
14:20:14.723  FSPF     1     5     2             R2.00-00 LINKBAD PREFIXBAD
14:23:17.023  FSPF     1     5     2             R2.00-00 LINKGOOD PREFIXGOOD
14:24:52.509   PRC     1     5     1             R4.00-00 PREFIXGOOD
14:28:04.908   PRC     1     5     1             R4.00-00 PREFIXBAD

13:31から14:12まではラボの起動と準備(wideメトリックへの切り替えなど)の分で、STEP 0のマーカーは14:12:21です。それ以降を操作と突き合わせます。

時刻操作種別トリガー
14:13:53maximum-paths 1(STEP 1)FSPF ×2CONFIG
14:16:56maximum-pathsを戻す(STEP 2)FSPF ×2CONFIG
14:17:07metric 20(STEP 2)FSPFLINKBAD PREFIXBAD
14:20:14metric maximum(STEP 3)FSPFLINKBAD PREFIXBAD
14:23:17metric 10に戻す(STEP 4の準備)FSPFLINKGOOD PREFIXGOOD
14:24:52Loopback1を追加(STEP 4)PRCPREFIXGOOD
14:28:04Loopback1を削除(STEP 5)PRCPREFIXBAD

リンクやメトリックを触った操作はすべてFSPFですが、プレフィックスを足しただけ・消しただけの2回はPRCです。最短路木の形が変わらない変更では木を作り直していません。

メトリックの変更がLINKBAD PREFIXBADと記録される点にも注目してください。IOS XRは値の変更を「古いリンクが消えて新しいリンクができた」として扱っています。

STEP 5:元に戻す

Loopback1をIS-ISと設定の両方から外しました。4台ともrunning-configはSTEP 0と一致しています。

検証Configおよびshow結果

各STEPで4台すべてから、次の4種類をルータごとに分けて取得しています。検証Configはこの..._run.txtです(最終状態は最後のSTEPのもの)。

ファイル内容
..._show.txtshow version / show interface description / show route と、show isis 系一式(interface / neighbors detail / database detail / topology / adjacency-log / spf-log / lsp-log / statistics
..._log.txtそのSTEPの範囲だけに絞ったshow logging。各STEPの開始時にlogmsgでマーカーを入れ、その時刻をshow logging startに指定して取得したもの
..._run.txtそのSTEP時点のshow running-config(=そのSTEPの検証Config)
..._trace.txtshow isis trace allをフラッディング関連のイベントで絞ったもの(UPD_LSP_ACCEPT / UPD_LSP_SET_SRM / UPD_SNP_ENTRY / UPD_CSNP / UPD_PSNP

STEP 0:初期状態

ルータshow出力syslogrunning-configtrace
R1showlogruntrace
R2showlogruntrace
R3showlogruntrace
R4showlogruntrace

STEP 1:R1にmaximum-paths 1

ルータshow出力syslogrunning-configtrace
R1showlogruntrace
R2showlogruntrace
R3showlogruntrace
R4showlogruntrace

STEP 2:maximum-pathsを戻し、R2 — R4のR2側をmetric 20

ルータshow出力syslogrunning-configtrace
R1showlogruntrace
R2showlogruntrace
R3showlogruntrace
R4showlogruntrace

STEP 3:R2側をmetric maximum

ルータshow出力syslogrunning-configtrace
R1showlogruntrace
R2showlogruntrace
R3showlogruntrace
R4showlogruntrace

STEP 4:R2側をmetric 10に戻し、R4にLoopback1を追加

ルータshow出力syslogrunning-configtrace
R1showlogruntrace
R2showlogruntrace
R3showlogruntrace
R4showlogruntrace

STEP 5:すべて元に戻す(最終状態)

ルータshow出力syslogrunning-configtrace
R1showlogruntrace
R2showlogruntrace
R3showlogruntrace
R4showlogruntrace

参考

標準タイトル概要
ISO/IEC 10589:2002(第2版)Intermediate System to Intermediate System intra-domain routeing information exchange protocolIS-IS本体の仕様。本記事が参照したのは、決定プロセスの入出力を定める7.2.1、疑似ノードのメトリックを0とする7.2.3、リンクの申告を定める7.2.4、アルゴリズムの前提と次ホップのみを決めることを述べる7.2.6.1、パスの種類の7.2.6.2、隣接の特定の7.2.6.3、レベル・メトリックごとの計算の7.2.6.4、等コストパスの間引きの7.2.7、双方向接続性チェックの7.2.8.2、転送データベースの構築の7.2.9。定数は表2MaxPathMetric 1023)、maximumPathSplitsの既定値2は管理情報の定義による。
RFC 1195Use of OSI IS-IS for Routing in TCP/IP and Dual EnvironmentsIPの経路を運ぶための拡張。
RFC 5305IS-IS Extensions for Traffic Engineeringwideメトリック(Extended IS Reachabilityは24ビット、Extended IP Reachabilityは32ビット)。最大リンクメトリック(2^24 - 1)で広告されたリンクを通常のSPF計算で考慮してはならないと定めている。
RFC 7142Reclassification of RFC 1142 to Historic参照すべきはISO/IEC 10589:2002 第2版であることを述べている。

関連記事